北緯四十度のトウキビ

mitake Posted in ひとこと通信
コメントは受け付けていません。
 

 

秋田県男鹿半島の最北端に位置する入道崎、修学旅行以来四十五年ぶりにその入道崎に行ってきました。

日本の灯台五十選にも選ばれているという白黒縞模様の入道崎灯台。四十五年前の記憶はないに等しく、こんな縞模様だったのかと改めてしみじみ眺めてしまいました。

灯台とかって大好きで、私的には絶対最上部まで行かなきゃ気が済みません。そこで最上部に上って眼下を眺めると、夏空の下、穏やかに海原を広げる日本海が望めて何とも気持ちいい!

 

この海原の向こうには朝鮮半島があり、そして大陸に繋がっているのだと思うと、ちょっとグッとくるものがありますねえ。

灯台下には緑の芝生が広がっていて、まるでイースター島のモアイ像のような、北緯四十度のモニュメントが立っていて目を引きます。

 

今回秋田行きを思い立ったのは、会社の同僚で秋田在住のN子を尋ねたいと思ったから。やはり同僚だったMちゃんを誘ったところ、二つ返事でOKがでて、せっかくなら竿灯も見ちゃいましょうとなり、その日程で実行となったわけです。

六十代に突入し、この先の予測がつかない昨今.、親類縁者、知人友人それに愛する動物たちが、思いがけぬ時に命を終えてしまい、心にぽっかり穴が開いてしまうことが度々で、、、別に厭世気分になっているわけではないんですが、これからはできるだけ、会いたいと思う人にはできる限り会い、行きたいと思うところにはなるべく行っておこう。そんな動機から、今回の秋田行きを実行に移したというわけです。

寝台車に乗ったことがないというMちゃん、それではと夜行寝台発翌日最終新幹線で帰京という“弾丸ツアー”の決行になりました。

寝台特急「あけぼの」は、N子の待つ駅に定刻に到着。小さな木造駅舎の改札には、手を振って待つN子の姿が見えます。

私とは八年ぶり、Mちゃんに至っては、会社を辞めて以来実に三十余年ぶりの再会で、ひとしきり賑やかな再会劇が、東北の小さな駅頭で繰り広げられました。

 

 

 

 

竿灯を見る予定もあり、逆算して秋田駅には遅くとも四時までには着いていたい。N子はその辺の事情を察して、効率よく私たちを案内してくれることに。

まずは、今回一番の目的地、男鹿半島寒風山へと向かいます。ああこの景色、この景色。四十五年前に見た景色と再会です。山肌に咲き競う山百合の群落が、日本海を渡る風に揺れとてもきれい!

展望台から眺める八郎潟干拓地は、半島の三分の一の広さだとか。八郎潟湖は遥かに手をかざして臨める位置にあり、干拓の膨大な面積に、何ほどかの労力が費やされたのか見当もつきません。

 

 

   

話は入道崎に戻り、北緯四十度のモニュメントに腰掛、N子が畑で採って茹でてきてくれたトウモロコシを頬張ります。

サルに狙われ三分の一が食べられてしまったという曰くつきのトウモロコシは、サルたちも多分大満足したと思う甘さで、私たちをもてなそうと、心を砕くN子の心の温かさもいっぱい詰まった、北緯四十度のトウキビを、思いっきりはじけていただきました!

 

 

2012/08/16  記