文章教室 GM
10月 テーマ「風立ちぬ」 秀作
湯浅 美代子
残暑が一向に収まらない九月、夏以来遠出の外出を控えていたが、
私の喜寿のお祝いにと旅のギフト券が子供と孫たちから贈られ、折角
の機会でもあり、韓流ファンとしてはここは韓国へ行ってみなくて
は、、、。
出獄手続きを終え飛行機の乗り込む。飛行機には何度か乗っている
が、海外は初めてでいささか緊張する。台風一過の空は澄み渡り、白
雲が下方を流れていくのがよく分かる。
二時間余りで仁川空港に到着。空から見える仁川は広大な干拓の一
隅にあり、長い海岸線が続いている。さあ韓国への第一歩です。とは言
え、辺りの景色は日本とあまり変わらない。
ただ道路は広い道幅で片側六車線。ところどころ未完の支線が目につ
き、発展途上の感も否めない。 走っている車はほとんど韓国現代社の
車で、聞くところによると、韓国では九十五%が国産車という徹底ぶり
だ。
今回参加したのは世界遺産を巡るツアーで、先ず「イ・サン」の舞
台である「水原華城」へ。城と言っても日本の城とは違い、東西南北に
高い楼門を建て、囲いを石垣で連ねている。門の一角に立つと全て見
渡せる。日本の城とはだいぶ趣が違う。
韓国四千何百年の歴史は国盗りの戦いの連続で、国名が何度も変
わり、近世になって朝鮮となり、そして南北に分かれ現在の「韓国」に
なっている。建造物は極彩色の木造がほとんどで、日本の奈良時代に
繋がっているようだ。
KTX(韓国高速鉄道)で縦断したのだが、車窓から見える景色は全く
日本と変わらず、強いて言えば河川敷が広大で、農地として大いに活
用されている。
そういえば韓国は世界一野菜を食する国とか。しかしその料理とはほ
とんど混ぜ混ぜで食べたり、スープをご飯にかけたり和えた野菜をご飯
に乗せて食べたりする。

宮廷料理はいざ知らず、こうした日常のごく普通の食事を見た限りで
は、日本料理の微妙で繊細且つ美しい器と盛り付けにま
で気配りするのとはだいぶ違う。 今回の韓国旅行を通して、改めて
日本の食文化の素晴らしさを感じた。
寸評 今、問題の韓国へ行ったんですね。けっこう勇気ある行動です
よね。でもこうした文化交流は大切なことですよね。日本料理の繊細且
つ微妙な味わいが愛おしと感じられて、旅した甲斐があったというもの
ですよね。七十歳のいいプレゼントになりましたね。こうして書き残され
ておけば、お子さんお孫さんへのいいメッセージにもなりますよね。