GM4月作品 湯浅美代子「ためらい」

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GM4月作品.湯浅美代子「ためらい」
眼科の定期健診で日赤病院へ行き順番を待っていた。すると歩行車に身を委ねそろそろと歩いている小柄な白髪の夫人が、娘さんと思われる方に付き添われて少し離れた椅子に腰かけた。見るともなく見ていると、二十年余り前に、俳句教室でお世話になったT さんに似ているようだが、、。私より十年ほど先輩だったように記憶している。
星野立子先生や高木晴子先生に師事されていたといい、それはそれは人柄の滲む素晴らしい俳句を作ってらした。そんなTさんに憧れ、私はその後Tさんたちのグループに入りお世話になった。お仲間が高齢になって自然消滅して久しい。けれどもあの溌剌として、きびきびとお世話されていた方とは思えないほど老いが進んでいた。よほど声をかけて確かめようか?否否と心の中で葛藤していた。
勿論T さんは私のことなど気にも留めない様子で、そのうち私は自分の番号を呼ばれたのでその場を去り、Tさんの確認をしないまま帰路についた。その事が脳裏から離れないで暫くたった。
毎年年賀状だけは戴いているし、同じ町に住んでいるのに行き会うこともなく二十余年が過ぎてしまっている。それだけ自分も年をとってしまっているのかと思いつつも、なんだか浦島太郎の気分だ。

寸評 こういう経験よくしますよね、それを題材にうまくまとめています。でもこちらの思いが届かない気分って、、、。こうして文字にすることで、少しは気分が晴れたかも、、。

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