文章教室 GM 7月の秀作
日本の食卓
湯浅 美代子
梅雨とはいえ、毎日うっとうしい日が続いているが、うっとうしいなんて言ってるうちが実は華で、梅
雨が明ければ一気に夏。ギラギラと太陽が輝き、暑さが容姿なく襲いかかってくる。そうなると、
「暑さで食欲がなくて」と、挨拶代わりの台詞が行き交うようになる。
ところが私ときたら、食欲がないなんて言うことはまずなく、夏のメニューに舌鼓を打つこと打つこ
と、、、。
一日の暑さを凌ぎ、やれやれと夕食の膳に向かう。当然冷え冷えの品がご馳走となって食卓に並
ぶ。
例えば素麺、透き通ったガラスの器に氷を浮かべ、胡瓜、青紫蘇、果物などの彩で食欲をそそる。
冷奴、冷麺、地方によって土地土地の特産を使った冷汁でご飯を食べる等、様々に工夫を凝らし
た食べ方をしている。
また冷えたものばかりでなく、温かい鰻、どじょう鍋、カレーライス等も、夏を乗り切るにはいい。
夏は料理ばかりでなく器や仕掛けにも一工夫あるのが楽しい。川床や屋上ビアガーデン、庭園で
ホタルを鑑賞しながらの食事など、自然の風もご馳走にしてしまう。
そういえば子供の頃、窓ガラスを外し、張り板を横にして食卓代わりにし、周りに空き箱を並べて、
近所の友達とカレーライスを食べたことなど、懐かしく楽しく思い出すことができる。
概して日本人は職を楽しむとき、ただ口にするばかりでなく、器つまり食器にも心を配る。
美しい焼き物、漆器、目にも食感にも微妙な気配りを施している。その象徴が会席料理で、鮮やか
な包丁捌きは正に芸術品といえる。
日本ならではの美がかいつまんでではあるものの、よく描かれてますね。想像するだけで楽しく
なってきます。
寸評 湯浅さんは「美の巨人」に魅せられているかも、でも大事なことですよね。本物の美をしっかり見ておくこと、、、。
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