邂逅の「苔の森」

mitake Posted in ひとこと通信
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「明日はどこの山に行くの?」

登山前日の夕食時、娘の質問に「八ヶ岳の麦草峠から高見石にしようかな」と父の答え。さらに続けて「ここ、小さいときに皆で行ってるんだよ」

私もきつかったあの時の登山はしっかり覚えている。残雪でぬかるむ登山道に手を焼き、寒さもありとにかくしんどかった。

「ふ~ん、な~んにも覚えてないけど」「お父さんがYちゃんをおぶって、お母さんとお兄ちゃんが荷物を持って登ったのよ」

「あのときは失敗した、あんなに雪が残っているとは思わなかったから、、、」山オタクの夫としては不覚なり!

出かけたのは二十五年前の五月はじめ、町は春本番にウキウキの頃ですからね、無理もないですし、山はまだまだ春眠中だったんですね。

二十五年前というと娘は三歳、雪道を歩きとおせるわけもなく、、。息子にしても五歳、皆の荷物を持ってよく歩きましたよ。やっぱ男の子ですね~!

その夜、当時の写真を探し出してきて見てみました。とにかく雪道は寒そうで歩きにくそう、どうしてこんな時期にこんな山へ行ったのか??

アルバムのページをめくっていくと、残雪で悪戦苦闘の「苔の森」を経て高見石へ、そこから下って白駒池畔で撮った写真には、青と赤、おそろいのミッキーマウスのジャージを着た子供たちが笑顔で収まっています。寒い疲れた、、って、ああだこうだ言ってた途中の山行が、まるでなかったような子供たちの笑顔がいい!

さて月日は流れ、三年前、ワーキングホリデーで一年間カナダに滞在した娘。バンフで就いた仕事は氷河ツアーガイド。三つ子の魂百までも、、っていうんですか、やっぱり自然相手の仕事に就いたわけです。一年間のワーホリ後、帰国した娘はすっかり山ガールに!

どこか行こうかとなると、山!

標高2000Mを超える麦草峠から丸山への登山道には、アザミ、ウスユキ草、ゴゼンタチバナ、リンドウなど高山植物が咲き乱れ、鹿侵入防止柵のネットを潜って登山開始。

丸山までの樹林帯は、ダケカンバやシラビソ、樅、ブナなど針葉樹にはじまり、倒木から岩石いたるまでびっしりと苔に覆われていて、ここがいわゆる「苔の森」です。

 

苔が覆っているので滑りやすく、足元によりいっそう気を配るのでかなり気疲れします。小一時間で2329Mの丸山に、展望のきかない丸山でしたが、小さな祠が祀られ手を合わせます。きれいな蝶も留まっていて、息を整える間に蝶を撮ろうとパチリ!さあ高見石まではあと一息。

人の声が聞こえ高見石小屋の屋根が見えてきました。ここまで登り下りですれ違うパーティーは数えるほどでしたが、小屋から高見石にかけてかなりの登山者がいますねえ。様々な方角から集まってきた登山者なんでしょう。

 

高見石で高みの見物、と呑気に構えていましたが、いやいやどうして這いつくばっていくような塩梅に冷や汗ものでしたね。でも眼下に樹林に囲まれた白駒池が見え、樹林の緑と池の深い蒼さが素晴らしく、ここまでのしんどい山歩きの疲れなど吹っ飛んでしまいました。

 

高見石小屋に戻り、名物の揚げパンを戴きます。黄な粉とココア味共にうまい!姉が欲しがっていたカウベルもゲット、さあ白駒池めざしひたすら下っていきましょう。

白駒池には登山に来たとは思えないような初老の方々や、スニーカー姿の若い方やご婦人などが池の周りを散策しています。下の駐車場からは散策気分で来られますからね。麦草ヒュッテには14時過ぎに帰着、25年目の「苔の森」は、気分爽快に終了です!ああそうそう、池畔で二十五年前の構図と同じに娘の写真をパチリ!

 

余談になりますが、登山開始時に両腕にリラックマという黄色い虫よけバンドをして登山に取りかかったんですが、これがなかなかの効き目だったんですよ。おかげで蚊にもさされませんでしたし、虫も寄ってきませんでした。実はこのリラックマ、当店で販売している虫よけバンドなんです。

宣伝ついでにもう一つ、首には同じく当店で販売中のクールネックという冷却グッズを巻いて行ったんですが、濡らした個所はすぐ乾いてしまいましたが、汗は流れたりせずいい感じでしたね。

 

2012/08/30 記

特別なポテトチップ

mitake Posted in 質屋こぼれ話
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「わさび味のポテトチップ」特別変わったチップではないんですが、これが大違い!

このポテトチップただのポテトチップとは訳が違うんです。何が?

実は、大変苦労してゲットしたチップなんですねsmileyロンドンオリンピックメダリストたちの銀

座パレード、皆さんの記憶に新しいと思いますが、50万人の人たちがメダリストたちを一目見

ようと銀座に詰めかけましたよね。その中に当店のお客様が行ってたんですね!?

 

「選手の顔とか見れたんですか?」「携帯で写真撮るのに必死になってたら、バスが通り過ぎ

ちゃってたの」「しっかりその目で見ておけばよかったのに」「せめて沢さんは見ておきたかっ

たんだけど、、、」

 

イベントってそんなもんですよね。結局ほとんど写真は撮れなかったとか。そして大混雑から

の脱出が待っていて、急ぐこともないからとしばらく休憩して帰ったお客さん、帰りがけに何気

に買ったのが「わさび味ポテトチップス」だったそうです。

 

特別なチップスはなんだか特別な味がしましたし、あの感動と興奮がよみがえりましたね。

ご馳走様でした。

 

2012/08/25 記

北緯四十度のトウキビ

mitake Posted in ひとこと通信
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秋田県男鹿半島の最北端に位置する入道崎、修学旅行以来四十五年ぶりにその入道崎に行ってきました。

日本の灯台五十選にも選ばれているという白黒縞模様の入道崎灯台。四十五年前の記憶はないに等しく、こんな縞模様だったのかと改めてしみじみ眺めてしまいました。

灯台とかって大好きで、私的には絶対最上部まで行かなきゃ気が済みません。そこで最上部に上って眼下を眺めると、夏空の下、穏やかに海原を広げる日本海が望めて何とも気持ちいい!

 

この海原の向こうには朝鮮半島があり、そして大陸に繋がっているのだと思うと、ちょっとグッとくるものがありますねえ。

灯台下には緑の芝生が広がっていて、まるでイースター島のモアイ像のような、北緯四十度のモニュメントが立っていて目を引きます。

 

今回秋田行きを思い立ったのは、会社の同僚で秋田在住のN子を尋ねたいと思ったから。やはり同僚だったMちゃんを誘ったところ、二つ返事でOKがでて、せっかくなら竿灯も見ちゃいましょうとなり、その日程で実行となったわけです。

六十代に突入し、この先の予測がつかない昨今.、親類縁者、知人友人それに愛する動物たちが、思いがけぬ時に命を終えてしまい、心にぽっかり穴が開いてしまうことが度々で、、、別に厭世気分になっているわけではないんですが、これからはできるだけ、会いたいと思う人にはできる限り会い、行きたいと思うところにはなるべく行っておこう。そんな動機から、今回の秋田行きを実行に移したというわけです。

寝台車に乗ったことがないというMちゃん、それではと夜行寝台発翌日最終新幹線で帰京という“弾丸ツアー”の決行になりました。

寝台特急「あけぼの」は、N子の待つ駅に定刻に到着。小さな木造駅舎の改札には、手を振って待つN子の姿が見えます。

私とは八年ぶり、Mちゃんに至っては、会社を辞めて以来実に三十余年ぶりの再会で、ひとしきり賑やかな再会劇が、東北の小さな駅頭で繰り広げられました。

 

 

 

 

竿灯を見る予定もあり、逆算して秋田駅には遅くとも四時までには着いていたい。N子はその辺の事情を察して、効率よく私たちを案内してくれることに。

まずは、今回一番の目的地、男鹿半島寒風山へと向かいます。ああこの景色、この景色。四十五年前に見た景色と再会です。山肌に咲き競う山百合の群落が、日本海を渡る風に揺れとてもきれい!

展望台から眺める八郎潟干拓地は、半島の三分の一の広さだとか。八郎潟湖は遥かに手をかざして臨める位置にあり、干拓の膨大な面積に、何ほどかの労力が費やされたのか見当もつきません。

 

 

   

話は入道崎に戻り、北緯四十度のモニュメントに腰掛、N子が畑で採って茹でてきてくれたトウモロコシを頬張ります。

サルに狙われ三分の一が食べられてしまったという曰くつきのトウモロコシは、サルたちも多分大満足したと思う甘さで、私たちをもてなそうと、心を砕くN子の心の温かさもいっぱい詰まった、北緯四十度のトウキビを、思いっきりはじけていただきました!

 

 

2012/08/16  記