台風一過の10月1日明け方、窓越しに明るい光が射し込み外へ出
てみると、東の空にたなびく雲の帯を従え、十五夜の月が輝いて
いました。
それはそれは神々しいまでの輝きで、先ほどまで荒れ狂っていた台風
17号の風はどこへ行ったのかと思うほど。
「月光値千金」思いがけない天からのプレゼントに、しばらくその場に
佇んで十五夜の月を愛でました。
パソコンも携帯電話もない千年も前の人々は、自然に敬意を表し自
然に従順に生き、情景を歌に詠みそうした時を楽しんでいました。
現代の人々も、せめてこんなに美しい月夜には、自然に抱かれ心を休
めてはいかがでしょう。
2012/10/19 記
注 この作品は、10月5日東京新聞読者投稿欄「発言」に掲載され
たものです。