雪国の春は遠い

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グループM 三月テーマ 「春旅」 秀作

青木静代 「雪国の春は遠い」

二月初旬友達に誘われ青森への旅に出た。新幹線「はやて」で本州の最北端青森へたった三時間半で着いた。その速さには驚いた。それに雪国青森だけあって、雪がまだまだたっぷりあり、雪国を旅する楽しさが湧いてきた。

 

今夜の宿泊先は鰺ヶ沢温泉、新青森から送迎バスで一時間半揺られて着いた。まずは露天風呂で雪見風呂としゃれ込む。夕食はバイキング、つい目が映っていろいろ食べてしまった。血圧に不安のある私なので、休む前にもう一風呂浴びて血圧を測ったが正常!これも温泉効果か、、。

翌日五能線で五所川原へ、ねぶたを飾った紀念館「立佞武多の館」を見学します。高さが二十二メートルもあるという佞武多を飾っているため、記念館は七階建てビルに相当する高さだとか。巨大スクリーンに佞武多祭りの迫力ある映像が流され、立佞武多を眺めながらスロープを下ってきたが、その迫力に圧倒された。

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佞武多の次は、津軽の冬の風物詩「ストーブ列車」を楽しむため二両連結の列車に乗り込みます。列車は見渡す限りの雪原をゆったりと走ります。車内にはだるまストーブが置かれ、石炭が次々とくべられます。

ストーブの上ではスルメなどが焼かれ、乗客に振る舞われます。お酒もOKという車内は、ほろ酔いの乗客も交じり和やかな雰囲気です。ただし少し訛りがきつく、土地の方々の話はあまり理解できませんでしたが、、。

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太宰治紀念館「斜陽館」は金木下車、金木には「津軽三味線会館」もあり三十分間の生演奏を堪能します。本場で聞く津軽三味線のバチの音が強く心に残りました。そういえばこの地の出身である民謡歌手の三橋美智也さん、津軽三味線を勉強して歌手になったとか。ゆかりの品々がたくさん展示されていました。

翌日は不老不死温泉をめざし、鰺ヶ沢から五能線「リゾートしらかみ」で日本海沿岸をひた走ります。名高い景勝地千畳敷海岸付近で列車は速度を落とし、「今日は波が静かでこんな日はめったになくシャッターチャンスですよ」と車掌さんに促され、皆カメラを手に構えます。日本海の荒波に削られた奇岩隆石の連なりに目を見張ります。

津軽の殿様が千枚の畳を敷いて大宴会を開いたという逸話がる千畳敷海岸、「山側の岩肌に氷のカーテンが見えますよ」と再び車掌さんのアナウンス。ここまで来なければ眺められない光景に圧倒されっぱなし!

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不老不死温泉は雑誌に載っていた通り、広大な日本海の波打際の露天風呂、雪がちらついていて入浴客は少なかった。着替えの小屋はなく大急ぎで裸になり、茶褐色の湯に飛び込んだが、海の際にあるお風呂でどうにも落着かない。

神経痛などによく効くという不老不死温泉、出会った地元の老婦人に春になるのはいつごろですかと尋ねると、四月の末ごろだよとの返事。雪国の春はまだまだだですが、この老婦人にも暖かい春が巡ってきてほしいと願う青森への旅でした。

 

寸評 冬には冬の旅が、、。旅情たっぷりで、青森まで飛んで行きたくきたくなりました。

2013/03/14 記

 

 

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