名画鑑賞

一言通信

2023/12/26(火)

役所広司さんがカンヌ国際映画祭で主演男優賞を獲った話題の映画「PERFECT DAY」を観てきました。平日の昼間というのに、館内は中高年の男性がかなりいて、ほぼ満席でした。私が映画を観に行くのはほとんどの場合平日の昼間で、かなり話題の作品でも観客は数えるほどで、こんなに満席でしかも男性がかなりいたのには驚きました。やはり役所さんがカンヌという大きな映画祭で主演男優賞を獲でインパクトがあったのでしょうね。それに役所さんは夏の民放の連ドラに出演していて、こちらも話題になっていたので、かなり宣伝効果があったようですね。

トイレ清掃員の日常を描いたこの作品、とにかく主人公は寡黙で、必要最小限の会話しかしない。大きな事件や出来事もなく、繰り返される日常が描かれていきます。それでも日々少しずつの変化はあり、突然親戚の娘がプチ家出で舞い込んできて、仕事場にもついてきて手伝い始めたり。普通に考えれば、トイレ掃除の現場などあまり見せたくはない筈だが、役所さん演じる平山はしようがないなあという風情でモップ掃除などを教えるのだ。

「PERFECT DAY」お洒落なパンフです。

感情を極力抑える平山だが、シフトの同僚だったタカシがあっさり辞めてしまい、さすがにこの時は、あまりに勝手な振る舞いに声を荒げる。姪の母親、平山の妹が姪を迎えに来て、「ホントにトイレの掃除やってるの」と尋ねるのへ、しばしあって「うん」と答える姿に、ほんの少しの後ろめたさや胸を張る自分もいて、その絶妙のバランスの保ち方が、役所さんでなければ出せないいい味なのだ!

木漏れ日をこよなく愛し、トイレ掃除にプライドを示す。それにしてもこれトイレ?と思わせる素敵なデザインのトイレが多数あり、有名建築家の方々がデザインしたものらしく何か早く家に帰りたくなる。役所さんのお掃除は特訓されたということですが、私なぞ参考にしたくなるほどでした!役所さん遂に名優の領域に入りましたね!